回転寿司


さて、今日の遅い昼食は寿司、そう、目の前を皿に乗って
等速直進運動しているように見えて実は回転運動している、あの寿司である。

軍艦巻き」と言う物をご存じだろうか。

ふつうの握りと違い飯の周囲をを海苔で囲み、
飯よりも高い海苔の部分にイクラだとかウニだとか乗せてあるやつ。
私が食べようとした「軍艦巻き」は
その部分に挽き割り納豆とうずらの卵黄が乗せてあるものだった。
ふつう、これらの「軍艦巻き」は、1カン、つまり一皿に2個同じものが盛られているのだが、
作られてからちと時間の経っているそれは海苔が
すでに水分を吸収ししわしわヨレヨレになっており、
皿を手にとっていささか後悔したのだが、いまさら寿司の回転道に戻すわけにもいかず、
ま、いっかこれ安いもんね、と箸をつけることにした。
1個を箸でつまみ上げ口に運ぼうとしたその時、飯と具の水分を吸収した海苔が、
さらに納豆ウズラ卵黄の周りに付着していた残留卵白との相乗効果で
並んでいた隣の1個の海苔と堅く結び合わさってつまりくっついていることを発見したのだ。
片方だけを持ち上げようとしたのであれば当然他の片方は接着した海苔の部分だけ上方へ引っ張られ、
そうでない部分は当然横倒しとなり納豆べっとりウズラの卵黄は割れ皿のふちに広がり、
さらに飯と海苔の分離が非常に中途半端な状態で、ここで箸に頼らずに自分の指で事態の収拾を謀らなければならなかったが、
なにぶん相手は納豆とウズラ卵黄であり、指が汚れてしまうのを気にして
何とか箸の使用だけで事をすまそうとしたのがいけなかった
箸先だけでは時間の経った接着海苔はまるで糊のようで分離できず
さらにその中途半端な行為のためもう一個の方も見事横転。
箸を持ち上げると2個分の海苔だけがついてくる。
皿にはエントロピーの増大した飯と挽き割り納豆とつぶれたウズラ卵黄がでんでろりんと。
もったいないと思う。だから、まず2個分の海苔だけおば食し、
あとはそのでんでろりんのエントロピーにしょう油をばたらして
かき回し粘りを増加させ、そのままでは確実に食べづらい(納豆を皿で食べる事)ので
かき回した納豆卵黄飯を皿ごと持ち上げ直接口へ掻きこもうと思ったが実行出来なかった。
そのまま、店員さんにごめんなさい別に寿司に問題があったわけでなく
もちろん代金は食べただけでなく取った皿の数で精算してくれて当然などと言えば
周りの客の眼がさらにこちらに向きいままでこちらをチラチラと見ていた客もいたのであるが
そのまことに恥ずかしいこの気持ちはなんともはや納豆さんとウズラさんにも
申し訳ないようでコソコソとその寿司屋を後にしながら
次の言葉を思い出していたのである。


       『粘性とは物体の復讐である』      by Jean-Paul sartre












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